Dear mom Vol.11
『実語教のすすめ』
実語教ってご存知ですか?恥ずかしながら、私は近年まで知りませんでした(笑)。
実語教は知らなくても、『学問のすすめ』は皆さまご存じですよね。その『学問のすすめ』の中に、
「『実語教』に、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり」と、あります。江戸時代、実語教は寺子屋教育で学ばれていました。
以下、齊藤孝さんの「子どもと声に出して読みたい実語教 日本人千年の教科書」より抜粋
この『実語教』は平安時代の終わりにできたといわれています。弘法大師(空海)の作という説もありますが、本当のところはわかりません。
子ども達の教育に使われ、鎌倉時代に世の中に広まって、江戸時代になると寺子屋の教科書となりました。明治時代になっても、しばらく使われていたようです。ですから、だいたい千年近くずっと使われていたことになります。これはすごいことです。
どうして『実語教』がそれほど重宝されてきたのかというと、この中に、人間が世の中で生きていくうえで欠かせない大切な知恵が詰まっていたからです。学びの大切さ、両親・先生・目上の人への礼儀、兄弟・友だち・後輩との付き合い方などについて、たとえ話をまじえながら、やさしく説いているのです。ですから、子どもにもわかりやすかったのでしょう。
昔は、子どもの頃に『実語教』をしっかり学んで自分のものにしてしまえば、自然と立派な大人になれるようになっていたのです。・・中略・・
『実語教』の中には昔の中国に生きた孔子という先生の教えが数多く入っています。孔子には『論語』という有名な本がありますから、これも一緒に読んでみるといいでしょう。また、最初にあげた福沢諭吉先生の『学問のすゝめ』にも目をとおしてみるといいでしょう。『学問のすゝめ』は、『実語教』の内容を新しい時代にあわせて、もう一度わかりやすく書き直したような内容になっています。どちらも基本は「しっかり学んで向上心を持って生きて、世のためになる人になる」ということです。冒頭文より
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「この本、子ども達におすすめだよ。」と、知人より紹介されました。とても読みやすく、内容は、是非子ども達に、知ってほしいし、考えてほしいと思う事、満載です。但し、子ども一人で読むとしたら、小学校高学年位でないと難しいかも知れません。
しかし、『論語』や『学問のすすめ』をスラスラ暗唱してくれる、教室の子ども達です。『実語教』の素読も、是非、チャレンジしてみてください!!この本は、素読文のみならず、短い一文ごとに、意味の解説、伝えたい内容がわかりやすく、まとめてあります。基本、子供向けの文章になっていますが、大人が読んでも素養を高めることに役立ちますし(おかげさまで私も)、小さい子ども達には、解説文、例文を大人が咀嚼して伝えやすい文になっています。例えば、
山高きが故に貴からず 樹有るを以て貴しとす
これは、世の役に立つ人になろう、と目次がつけてあり、現代語訳と、易しい解説文が、そのまま話して聞かせてもよい様、口語文体で書いてあります。将来、きっと役に立つ本です。どうぞ、一度読んでみてください。
七田式 池袋・大塚・田端教室 代表 市原 美歌